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田中雄二
TR-808<ヤオヤ>を作った神々 ──菊本忠男との対話──電子音楽 in JAPAN外伝
Du Books
- Cat No: 9784866471327
- updated:2021-02-19
「電子音楽イン・ジャパン」の著者田中雄二による現在のエレクトロニック・ミュージックに多大な影響を与えたローランドのリズムマシーン、シンセサイザーTR-808をテーマにその製作指揮をとった 菊本忠男との対話を中心に、電子音楽の歴史をたどりながら魅力、歴史的背景、人物、影響を描いた「TR-808<ヤオヤ>を作った神々 ──菊本忠男との対話──電子音楽 in JAPAN外伝」。
1980年に発売された 日本製リズムマシン「TR-808」(通称:ヤオヤ)。
販売期間3年間でわずか1万2000台しか売れなかった装置は、後に海を渡り、80年代末に花咲くクラブシーン隆盛の中で、リバイバル評価を受ける。後続の「TR-909」、ベースライン用シーケンサー「TB-303」など、発売された姉妹機も、 楽器がジャンルそのものを生みだしていくきっかけとなった。
「TR-808」はエレクトロ、マイアミ・ベース、
「TB-303」はアシッド・ハウス、テクノ、
「TR-909」はハウス、ヒップホップ、ガバ、
発売元は大阪で創業した楽器メーカー、ローランド。
創業者の梯(かけはし)郁太郎は、たった一代で日本第2位の電子楽器メーカーに成長させた。今や世界の共通言語となった通信規格「MIDI」も梯が発案したもの。「MIDI」は、その後のDTM(Desk Top Music)、通信カラオケ、初音ミクブームなどを支える基礎技術となっていく。2003年にはこの発明による音楽業界の貢献を讃えられ、日本人個人として初めて、アメリカ最大の音楽祭、グラミー賞テクニカルアワード賞を受賞。
じつは、これらの発明は、基本的に1人のプロジェクト・リーダーから産まれた。
グラミー賞受賞時の梯のインタビューで、最大の功労者として名前を挙げられていたローランド大阪技術センター部長(当時)、菊本忠男である。「ミスター・キクモト」として海外では知られ、トリビュート盤も出る存在だが、これまで公式に雑誌インタビューを受けることがなかった。海外で制作されたドキュメンタリー『808』にも登場していない氏が、初めて「TR-808」「TB-303」「TR-909」の開発秘話を本格的に明かす。
本書は、累計1万3000部をセールスした、日本の電子音楽史を初めて綴った通史『電子音楽 in JAPAN』の20年ぶりの続編的歴史書でもある。日本のトップブランド、ローランド開発者、菊本忠男との対話形式で、前著の後の歴史である80年代末~今世紀までの、サンプリング、デジタル・シンセサイザー、ソフトウエア・シンセの歴史を集大成した。
菊本忠男(きくもと・ただお)
日本最初期のトランジスタ技術者の一人。41年大阪府生まれ、77年にローランドに入社し、プロジェクト「P8」セクションのリーダーとして「TR-808」、「TR-909」、「TB-303」などの代表機種を開発。世界的通信規格「MIDI」制定にも関わる。後に基礎技術開発室に移り、エルトン・ジョンが激賞した電子ピアノ「RD-1000」のSA音源、「D-50」のLA音源、COSMパラダイムによる「V-Guitar」から「V-Piano」までのVシリーズの開発に関わる。代表取締役社長を経て、現在はロボット工学、DSP研究者。
デザイン:岡田崇
販売期間3年間でわずか1万2000台しか売れなかった装置は、後に海を渡り、80年代末に花咲くクラブシーン隆盛の中で、リバイバル評価を受ける。後続の「TR-909」、ベースライン用シーケンサー「TB-303」など、発売された姉妹機も、 楽器がジャンルそのものを生みだしていくきっかけとなった。
「TR-808」はエレクトロ、マイアミ・ベース、
「TB-303」はアシッド・ハウス、テクノ、
「TR-909」はハウス、ヒップホップ、ガバ、
発売元は大阪で創業した楽器メーカー、ローランド。
創業者の梯(かけはし)郁太郎は、たった一代で日本第2位の電子楽器メーカーに成長させた。今や世界の共通言語となった通信規格「MIDI」も梯が発案したもの。「MIDI」は、その後のDTM(Desk Top Music)、通信カラオケ、初音ミクブームなどを支える基礎技術となっていく。2003年にはこの発明による音楽業界の貢献を讃えられ、日本人個人として初めて、アメリカ最大の音楽祭、グラミー賞テクニカルアワード賞を受賞。
じつは、これらの発明は、基本的に1人のプロジェクト・リーダーから産まれた。
グラミー賞受賞時の梯のインタビューで、最大の功労者として名前を挙げられていたローランド大阪技術センター部長(当時)、菊本忠男である。「ミスター・キクモト」として海外では知られ、トリビュート盤も出る存在だが、これまで公式に雑誌インタビューを受けることがなかった。海外で制作されたドキュメンタリー『808』にも登場していない氏が、初めて「TR-808」「TB-303」「TR-909」の開発秘話を本格的に明かす。
本書は、累計1万3000部をセールスした、日本の電子音楽史を初めて綴った通史『電子音楽 in JAPAN』の20年ぶりの続編的歴史書でもある。日本のトップブランド、ローランド開発者、菊本忠男との対話形式で、前著の後の歴史である80年代末~今世紀までの、サンプリング、デジタル・シンセサイザー、ソフトウエア・シンセの歴史を集大成した。
菊本忠男(きくもと・ただお)
日本最初期のトランジスタ技術者の一人。41年大阪府生まれ、77年にローランドに入社し、プロジェクト「P8」セクションのリーダーとして「TR-808」、「TR-909」、「TB-303」などの代表機種を開発。世界的通信規格「MIDI」制定にも関わる。後に基礎技術開発室に移り、エルトン・ジョンが激賞した電子ピアノ「RD-1000」のSA音源、「D-50」のLA音源、COSMパラダイムによる「V-Guitar」から「V-Piano」までのVシリーズの開発に関わる。代表取締役社長を経て、現在はロボット工学、DSP研究者。
デザイン:岡田崇
いつだったか、DANIEL WANGが大阪でプレイした時に、ブース越しに、エレクトロニック・ダンスミュージックに多大な影響を与えたローランドは大阪でスタートした会社で、その意義をフロアに伝えてプレイをはじめた。褌姿ではなかったと記憶しています。TB-303、TR-909と並び現行のエレクトロニック・ミュージックの基礎をつくったTR-808、機材の魅力。そしてそれを産んだローランド、一連の名機製作の指揮を取った菊本忠男や、大阪、浜松、日本のシンセサイザーの歴史、電子音楽にスポットを当てた著書。的確で簡潔に背景を描きながら、突っ込むところは突っ込む。まだ読み始めたばかりですが非常に面白い。ストックしました! (サイトウ)