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Aksak Maboul
Figures
Windbell
- Cat No: FOUR138/139
- 2022-05-01
世界のインディペンデンド・レーベル界の静かなるゴッドファーザーの一人、マルク・オランデル率いるアクサク・マブール40年ぶりとなる第三作、全22曲収録の二枚組。
Track List
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DISC. 1
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1. Among The Naeporu
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2. C’est Charles
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3. Taciturne
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4. Silhouettes
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5. True, False, Fictive
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6. Histoires de fous
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7. Sophie La Bévue
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8. Formerly Known As Défilé
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9. How Should One Read a Book?
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10. Spleenétique
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11. Sgraffites
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DISC. 2
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1. The Untranslatable
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2. Retour chez A.
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3. Dramuscule
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4. Excerpt from Uccellini
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5. Un Caïd
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6. Martial Arts for Boys
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7. Un certain M.
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8. Ins Bleistiftgebiet
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9. Fatrasie pulvérisée
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10. Qu’est-ce que c’est “mot “?
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11. Tout a une fin
アクサク・マブールはなぜ特別な存在なのか。
それは彼らがアヴァンギャルドとポップ、
あるいはシリアスとユーモアの両岸をまたぎながら
絶妙なバランスで遊泳できる稀有なバンドだからにほかならない。
70年代前衛ロックの知性や技術から
80年代ニューウェイブの鋭角性と直截さ、
エレクトロニク・ミュージックの音響的快楽、
そしてステレオラブやアニマル・コレクティヴなど
現行先鋭バンドが持つロック/ポップ・ミュージックとしての
ロマンティシズムとイマジネイション。
そういったものがすべてここには宿っている。
時代の流行などにけっして取り込まれることのない傑作が誕生した。
英米および日本の媒体による名盤選、ディスクガイドの類に登場することはほとんどない
意図的に秘蔵されてた感すらある
彼らのファースト、セカンド・アルバムは探求者であれば
いずれ遭遇することになる古典といえるでしょう。
名作 "Onze Danses Pour Combattre La Migraine" (1977年)
2nd アルバム "Un Peu De L'Âme Des Bandits" (1980年)リリース後、
マークとヴァンサンはThe Honeymoon Killersに合流、
ベルギー、ブリュッセルを拠点に
インディペンデント・レーベル、Crammed Discs(クラムド・ディスク)を設立し、
過去40年に渡り、いつの時代も世界各地のプログレッシヴかつ新鮮な
音楽を世界に向け放ち続けてきました。
アクサク・マブール名義の活動としては
1986年に山本耀司のファッション・ショーの音楽を
手がけたのが最後だったようです。
(残念ながらこの音源はリリース・プランにあがりながらも未発表のままです。)
2015年、突如「かつて"未来のアルバム"だった EX-FUTUR ALBUM」という
80年から83年にかけ制作されながらも、未完のままだった幻のアルバムを
30年以上の時を超えて発表。
(このアルバムはVeronique Vincent & Aksak Maboul with The Honeymoon Killers 名義)
このリリースは当時を知らない近しい若者たちの反応に後押しされてのことだったようです。
リリース後のヨーロッパでの公演は彼らの前史を知らない若い聴衆に包まれているとのこと。
近年、新鮮な音楽を求める人々の関心、世界的潮流は
メインストリームを別にすれば、明らかにかつての音楽産業の中心地から
はなれつつあるという見方もできます。
レア・グルーヴ〜ヒップ・ホップのサンプリングソースとして再発見された
プラシーボ、コス、テレックス、
前衛ロック連帯運動 (Rock In Opposition=RIO)
を通じて出会った、フレッド・フリス、クリス・カトラー、
ミシェル・ベルクマン(ユニヴェル・ゼロ)、エトロン・フー・ルルーブラン、
レ・テュー・ドゥ・ラ・リューヌ・ドゥ・ミエル / ハネムーン・キラーズ、
ゼッテンネール(ZNR)、エクトール・ザズー、
ジョン・ルーリー、ピーター・シェラー&アート・リンゼイ、
ラムンチョ・マタ、エルミーヌ、ファミリー・フォダー、タキシードムーン、
デヴィッド・カニンガム、清水靖晃、セイゲン・オノ、SONOKO、
ザップ・ママ、サインコ・ナムチェラク、
タラフ・ドゥ・ハイドゥークス、コチャニ・オルケスタル、
タルティット、ヤスミン・ハムダン、
アクアサージュ、ル・トン・ミテ、シンク・オブ・ワン、
コノノ・NO.1、スタッフ・ベンダ・ビリリ、、、
と彼らを取り巻く音楽家の輪は世界規模に拡がり、個々の音楽性は実にユニークです。
サブ・レーベル、SSR Records、Ziriguiboom の活動を含めると
MPB ブラジル音楽〜スバ、ベベウ・ジルベルト、セルソ・フォンセカ、シベーリ、
エレクトロニック / ダンス・ミュージック〜
カレン・フィンリー、カール・クレイグ、
4 Hero、DJ Spinna、Juryman、
シャンテル、アシッド・アラブ、
プりンス・トーマス、オプティモ、
ジャイルス・ピーターソン、ヌーヴェル・ヴァーグ、モッキー、、、、
と人脈はさらに拡がっていき、未踏の領域はないかのようです。
エチオピアのムハムッド・アハメッドのリイシューが1986年
(仏Buda MusiqueのÉthiopiquesシリーズで再度紹介されるのは1999年のこと。)
Roots Of Rumba Rock, Vol. 1 (Zaïre Classics, 1953-1954) が
リリースされたのは1991年のことでした。
米 Luaka Bop、NONESUCHもクラムドの後を追ったことになり、
英DOMINOをはなれたフアナ・モリーナが
ヨーロッパのあらたなベースに選んだのはクラムドでした。
アクサク・マブールの音楽にはこれら広大な音楽世界へと誘う伏線があり、
クラムドのリリース作品は内包していた様々なヴィジョンに共鳴、反射させ、
具現化、進化 / 展開させた軌跡と見立てるのは早計でしょうか。
音楽について語る時、
さして深く考えないまま流用している語彙の数々、
カテゴリー、ラベリングの多くが
的を射ず、すり抜けていく感が彼らの音楽にはあります。
先行者として声高に何かを語ることもありませんが
現在の音楽と過去50〜70年以上前の録音物が並列で聴かれる今、
アクサク・マブール、クラムドのリリース作品の数々が
その後の音楽の青写真となっていることをあれやこれやの音盤に確認できるでしょう。
and it also makes so much sense with the kind of label that Marc is running.
It's very open, and they're very open-minded people, accepting the differences,
and it's what I find most attractive: the fusion, when you go get some DNA
from here and there
and over here and then cram it all into a song.
https://thequietus.com/articles/22992-laetitia-sadier-interview-stereolab-favourite-albums?page=7
瀟洒、軽妙、古拙、そのすべてを併せ持つ妙味
2020年の現在も健在です。
有終の美ここに極まれり。
Véronique Vincent: vocals
Marc Hollander: keyboards, sax & clarinets, percussion, programming, field recordings, etc.
and
Faustine Hollander: backing vocals, bass, guitar
Lucien Fraipont: guitars
Erik Heestermans: drums
With contributions by
Michel Berckmans: bassoon
Steven Brown: vocals
Fred Frith: viola, guitar
Julien Gasc: vocals
Audrey Ginestet: backing vocals, field recordings
Benjamin Glibert: guitar, backing vocals
Jordi Grognard: clarinet, bass clarinet, flute
Martin Méreau: drums, percussion, vibraphone
Sebastiaan Van den Branden: guitar, percussion
スポークン・ワーズ、声の出演
カトリーヌ・ジョニオ、トム・コラ、レティシア・サディール
Produced & arranged by Marc Hollander
Manufactured and distributed by WINDBELL
Japanese edition issued under exclusive license from Crammed Discs
それは彼らがアヴァンギャルドとポップ、
あるいはシリアスとユーモアの両岸をまたぎながら
絶妙なバランスで遊泳できる稀有なバンドだからにほかならない。
70年代前衛ロックの知性や技術から
80年代ニューウェイブの鋭角性と直截さ、
エレクトロニク・ミュージックの音響的快楽、
そしてステレオラブやアニマル・コレクティヴなど
現行先鋭バンドが持つロック/ポップ・ミュージックとしての
ロマンティシズムとイマジネイション。
そういったものがすべてここには宿っている。
時代の流行などにけっして取り込まれることのない傑作が誕生した。
英米および日本の媒体による名盤選、ディスクガイドの類に登場することはほとんどない
意図的に秘蔵されてた感すらある
彼らのファースト、セカンド・アルバムは探求者であれば
いずれ遭遇することになる古典といえるでしょう。
名作 "Onze Danses Pour Combattre La Migraine" (1977年)
2nd アルバム "Un Peu De L'Âme Des Bandits" (1980年)リリース後、
マークとヴァンサンはThe Honeymoon Killersに合流、
ベルギー、ブリュッセルを拠点に
インディペンデント・レーベル、Crammed Discs(クラムド・ディスク)を設立し、
過去40年に渡り、いつの時代も世界各地のプログレッシヴかつ新鮮な
音楽を世界に向け放ち続けてきました。
アクサク・マブール名義の活動としては
1986年に山本耀司のファッション・ショーの音楽を
手がけたのが最後だったようです。
(残念ながらこの音源はリリース・プランにあがりながらも未発表のままです。)
2015年、突如「かつて"未来のアルバム"だった EX-FUTUR ALBUM」という
80年から83年にかけ制作されながらも、未完のままだった幻のアルバムを
30年以上の時を超えて発表。
(このアルバムはVeronique Vincent & Aksak Maboul with The Honeymoon Killers 名義)
このリリースは当時を知らない近しい若者たちの反応に後押しされてのことだったようです。
リリース後のヨーロッパでの公演は彼らの前史を知らない若い聴衆に包まれているとのこと。
近年、新鮮な音楽を求める人々の関心、世界的潮流は
メインストリームを別にすれば、明らかにかつての音楽産業の中心地から
はなれつつあるという見方もできます。
レア・グルーヴ〜ヒップ・ホップのサンプリングソースとして再発見された
プラシーボ、コス、テレックス、
前衛ロック連帯運動 (Rock In Opposition=RIO)
を通じて出会った、フレッド・フリス、クリス・カトラー、
ミシェル・ベルクマン(ユニヴェル・ゼロ)、エトロン・フー・ルルーブラン、
レ・テュー・ドゥ・ラ・リューヌ・ドゥ・ミエル / ハネムーン・キラーズ、
ゼッテンネール(ZNR)、エクトール・ザズー、
ジョン・ルーリー、ピーター・シェラー&アート・リンゼイ、
ラムンチョ・マタ、エルミーヌ、ファミリー・フォダー、タキシードムーン、
デヴィッド・カニンガム、清水靖晃、セイゲン・オノ、SONOKO、
ザップ・ママ、サインコ・ナムチェラク、
タラフ・ドゥ・ハイドゥークス、コチャニ・オルケスタル、
タルティット、ヤスミン・ハムダン、
アクアサージュ、ル・トン・ミテ、シンク・オブ・ワン、
コノノ・NO.1、スタッフ・ベンダ・ビリリ、、、
と彼らを取り巻く音楽家の輪は世界規模に拡がり、個々の音楽性は実にユニークです。
サブ・レーベル、SSR Records、Ziriguiboom の活動を含めると
MPB ブラジル音楽〜スバ、ベベウ・ジルベルト、セルソ・フォンセカ、シベーリ、
エレクトロニック / ダンス・ミュージック〜
カレン・フィンリー、カール・クレイグ、
4 Hero、DJ Spinna、Juryman、
シャンテル、アシッド・アラブ、
プりンス・トーマス、オプティモ、
ジャイルス・ピーターソン、ヌーヴェル・ヴァーグ、モッキー、、、、
と人脈はさらに拡がっていき、未踏の領域はないかのようです。
エチオピアのムハムッド・アハメッドのリイシューが1986年
(仏Buda MusiqueのÉthiopiquesシリーズで再度紹介されるのは1999年のこと。)
Roots Of Rumba Rock, Vol. 1 (Zaïre Classics, 1953-1954) が
リリースされたのは1991年のことでした。
米 Luaka Bop、NONESUCHもクラムドの後を追ったことになり、
英DOMINOをはなれたフアナ・モリーナが
ヨーロッパのあらたなベースに選んだのはクラムドでした。
アクサク・マブールの音楽にはこれら広大な音楽世界へと誘う伏線があり、
クラムドのリリース作品は内包していた様々なヴィジョンに共鳴、反射させ、
具現化、進化 / 展開させた軌跡と見立てるのは早計でしょうか。
音楽について語る時、
さして深く考えないまま流用している語彙の数々、
カテゴリー、ラベリングの多くが
的を射ず、すり抜けていく感が彼らの音楽にはあります。
先行者として声高に何かを語ることもありませんが
現在の音楽と過去50〜70年以上前の録音物が並列で聴かれる今、
アクサク・マブール、クラムドのリリース作品の数々が
その後の音楽の青写真となっていることをあれやこれやの音盤に確認できるでしょう。
and it also makes so much sense with the kind of label that Marc is running.
It's very open, and they're very open-minded people, accepting the differences,
and it's what I find most attractive: the fusion, when you go get some DNA
from here and there
and over here and then cram it all into a song.
https://thequietus.com/articles/22992-laetitia-sadier-interview-stereolab-favourite-albums?page=7
瀟洒、軽妙、古拙、そのすべてを併せ持つ妙味
2020年の現在も健在です。
有終の美ここに極まれり。
Véronique Vincent: vocals
Marc Hollander: keyboards, sax & clarinets, percussion, programming, field recordings, etc.
and
Faustine Hollander: backing vocals, bass, guitar
Lucien Fraipont: guitars
Erik Heestermans: drums
With contributions by
Michel Berckmans: bassoon
Steven Brown: vocals
Fred Frith: viola, guitar
Julien Gasc: vocals
Audrey Ginestet: backing vocals, field recordings
Benjamin Glibert: guitar, backing vocals
Jordi Grognard: clarinet, bass clarinet, flute
Martin Méreau: drums, percussion, vibraphone
Sebastiaan Van den Branden: guitar, percussion
スポークン・ワーズ、声の出演
カトリーヌ・ジョニオ、トム・コラ、レティシア・サディール
Produced & arranged by Marc Hollander
Manufactured and distributed by WINDBELL
Japanese edition issued under exclusive license from Crammed Discs
MOCKYやトウヤマタケオ、JOSEPHINE FOSTERまで時代の流れとは関係なく詩的なテキストを添えて我々に音楽を教えてくれるドメスティックレーベル、WINDBELLの2020年作はまさかのAKSAK MABOULの新作!1STの曲は誰かのミックスに入ってたり、聴くと全曲クラシックなわけで、しかし業界からみたらSPINETTAのようにアーカイブの海に埋もれてしまっていたのか。理解と解放はいまだったのかと勝手に解釈。いわゆる"ワールド・ミュージック"の総本山でありながら、絶えずそこを批評的かつ愛ある視点で外側に立っているレーベル、ベルギーはCrammed Discの創始者でもあるMarc Hollanderのバンドというもの面白い。Fred Frithらヘンリー・カウ周辺にレティシア・サディール、Julien Gascといったスレテオラブ周辺らハイセンスなポップ職人たちも参加。プログレ、スポークンワードとは過去のものだと思ってたけどいえいえそんなことはない。大人たちの瀟洒な遊びと歌と演奏。最高です。松山晋也氏によるライナーノーツと"マルク・オランデルが語るアクサク・マブール・ストーリー"も必見。単体ページでWINDBELLのテキストも作品という感じなので総合的にお楽しみください。(Shhhhh) (Shhhhh)