- 作品紹介 -
HALFBYの『Loco』から、またまたシングルカット。ここまで来たら全曲7インチ（＋リエディット）してくれたら楽しいのに、と思う。それはそれとして、mei eharaをフィーチャリングした「fushigi」がシングルリリースを待望されていた曲なのは間違いない。

アルバム・ミックスは、夕暮れのマジックアワーを借景にしたミッドテンポのメロウチューン。夢を見ているようなムードに、mei eharaの声と言葉は裂け目を作る。その裂け目は「ここにいたい」と「ここにはいられない」の狭間だ。心は落ちていきながら上昇する。まさにその感覚が“fushigi”そのものだった。
　
そして、今回のカップリングはURBAN VOLCANO SOUNDSによる“Mysterious Boogie Remix”。最高のディスコブギーへのリメイクだ。夕暮れ時に見た夢から覚め、ホテルの部屋を抜け出して街のなかへ。ぬっと現れるKEN KENのヴォーカルは、夜のエーテルのようにサウンドを淡く彩る。夜を追いかけているのか、夜から逃げているのか。これは新しい時代の「都会」（大貫妙子）なのかもしれない。

日暮れから夜へ、この７インチ1枚だけでずっとDJしていた。そんな“fushigi”な夢を見た。

松永良平（リズム＆ペンシル）