昨年、〈ABARTIK〉からのシングル”CUSAUFARA”も素晴らしかったVIDによる、センスフルに電子音を磨きあげ打楽器的シンコペーションとメロディーの聡明なアンビエンスに浮遊感たっぷりのノンビート”Ganduri”(sample1)から、背中からジワリと這いあがるベースにクリスタル・トーンのフローティング音響で物語を綴るタイトル・トラック”Sunshineset”(sample2)をAサイドに、うって変わってハリ突めた残響ドローンに、あの手この手のS.E.がスクランブルするフロア志向の”What Do You”(sample3)も強力です！

まずはB2、小刻みに震えさすロート・タムのような打音も効果的、ブレイクビーツ・ボトムに軽快なクラップやリズムワークでユニークな新感覚ミニマル・トラックを披露した”Timpului”(sample1)がオモシロい！！そして、ズンズンと行進する低めのベースラインに、VIDらしいアヴァンギャルドな音響と幽玄なウワ音のドローンで包みこんだタイトルトラック”Cusaufara”(ssample2)のオリジナルを、LAZARE HOCHE、MALIN GENIEらと共に3人組トリオ・MANDERの一員として知られる信頼のプロデューサー・S.A.M.がリミックスした、オーシャンティックにキメ細かい粒子の電子音使いで至極の無重力空間へと解き放つアザーステイトなディープハウス”Cusaufara (S.A.M. Reshape)”(sample3)も併せてレコメンド！少々お高くなってしまいましたが、超オススメ。

快楽的な浮遊感のウワ音とアナログなこだわりが伺えるタフなボトムを併せ持ったAサイド"Roots"(sample1)は勿論ですが、甘美なピアノの調べが無限に階段を降りていくようなファジーなグルーヴから、ブレイクあたりで微妙に転調しうねり出すタイトルトラックのB1"Camelie"(sample2)もじわりじわり効いてくる奥ゆかしさが癖になるミニマルハウス！こちらは、この〈BROUQADE〉レーベルのコア・メンバーである３人、ANNやDANAH RUHに負けじと活躍中のANTHEAがリミックスを担当。ダブなアトモスフェリック・コードで引っ張ったあと、気が遠くなりそうなブレイクで微睡み、また不意に元のグルーヴへ還っていくナイスなリミックスに仕上がっています！

DoEasyのコンピレーションEP「3 Years Do Easy EP」にも参加していたVIDが、ANTHEAの主催する絶好調レーベルBROUQADEからソロ・リリース！スポークン・ワードを柔らかくフロートするウワ音に絡めたフィルタード・ダビーミニマル・ハウス・トラック「Nouinceput」、アブストラクトに低空飛行する「A76」のA面2作は時と場所を選ばないグルーヴィー・ツール。長く付き合えそうです。物悲しいメロディーを吹く口笛サンプルがふわふわと漂うロング・トラック「Estevid」もなんともいえない魅力を放ってますよ。 (カイハラ)