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Julius Eastman
Crazy Nigger
Blume
- Cat No.: BLUME14
- 2020-12-15
REINHOLD FRIEDLは数学と音楽を学び、ZEITKRATZERというグループを結成してTERRE THAEMLITZ、CARSTEN NICOLAI、さらにはLOU REEDとのコラボレーション作などを残してきました。片割れのDIRK DRESSELHAUSはSCHNEIDER TM名義でCONRAD SCHNITZLERとのコラボなどでドイツ名門〈BUREAU B〉などから数多くのリリースをするなど、二人共バックグラウンドが違えどそれぞれのフィールドで活躍してきたベテラン。その二人がスタジオで何年もかけ、ピアノやギターのフィードバック、そしてそれにエフェクトを足したりなどして複雑な絡みのダークドローン長編を生み出しました。それも3CDのトータル3時間というボリューム。SUNN O)))のファンなどにもお勧めできる、展開も面白くずっと聴ける重く深い作品です!! (日野)
SARAH HENNIES含む4人がヴィブラフォンやパーカッションを使い、NYバッファローの田舎にある工場跡地Silo Cityという場所で録音された作品。Silo Cityのライブ空間にはコンクリートで吸音するものはなく、各部屋の仕切りもないために長いリヴァーブがあり、それを十分に活かした作品だと言えます。ティンパニを使っているのか、低い音程のマレットのロールによりアタック音が消え低いドローンのように聴こえるような音(sample2)だったり、ヴィブラフォンの弓弾きドローンに各自ウッドブロックでテンポがバラバラな演奏を重ねたもの(sample1)などが部屋鳴りと相まって特殊な音空間に。昨年から重要作を次々にリリースし、重要レーベルとして成長してきている〈BLUME〉の今後の展開も要チェックです。 (日野)
昨今再評価が高まるJULIUS EASTMANの70-80年代の作曲作品ニガーシリーズが2LPで登場!邪悪にも聞こえる不協和音と異常なまでの淡々とした打鍵、そして掛け声と共に弾かれる力強いユニゾンフレーズが迫力ある「Evil Nigger」、時間軸で進行を設定され、静かに始まりながら次第に複雑、重厚になっていく壮大な鎮魂歌のような「Gay Guerrilla」、ピアノ4台が横並びになり、4人の演奏者が同時に演奏していくトータル55分の「Crazy Nigger」の3曲が収録。個別で発売されている「Evil Nigger / Gay Guerrilla」と「Crazy Nigger」は同内容となります。 (日野)
聴衆の多くは白人/異性愛者だったというJULIUS EASTMAN。80年代のアメリカで現代音楽作曲家としてやっていくには肌の色が黒いだけでも弾圧があっただろうと思います。邪悪にも聞こえる不協和音と異常なまでの淡々とした打鍵、そして掛け声と共に弾かれる力強いユニゾンフレーズが迫力ある「Evil Nigger」。貼り付けられている動画を見ると面白いですが、時間軸で進行を設定され、静かに始まりながら次第に複雑、重厚になっていく壮大な鎮魂歌のような「Gay Guerrilla」。作曲/演奏方法も面白いですが、魂が乗っているような気迫ある演奏に心動かされる。心して聴くべし! (日野)
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JOHN CAGEやMORTON FELDMANなどの現代音楽曲を演奏するUSの重要なグループであるS.E.M. Ensembleの創設メンバーであったり、MEREDITH MONKやARTHUR RUSSELLなどの曲に参加するなどもしている作曲家JULIUS EASTMAN。注目されるべき才能を持ちながら不運にも生前はあまり注目されることなく90年にこの世を去ってしまいましたが、フィンランドのレーベル〈FROZEN REEDS〉から素晴らしい曲「Femenine」がCDで発売され瞬く間に世界へ広がっていきロンドンなどでその曲が再演されるなどしていきました。そのCD発売から約2年、イタリアの〈BLUME〉より待ちに待ったレコードでの再発がされることとなりました。JULIUS EASTMANの盟友でもあるMARY JANE LEACHの感動的名作「Pipe Dreams」(それも彼女の初のレコード!)もこの〈BLUME〉がリリースしており、恐らくJULIUS作曲作品のレコード化も今回が初。〈BLUME〉の再発に脱帽です!! ピアノ4台が横並びになり、4人の演奏者が同時に演奏していくトータル55分の「Crazy Nigger」。決められた音階とリズムが同時に鳴らされることによってあえてきちんと同期させない流動的な作曲となっており、音階がぶつかり合いながらも同期する瞬間があったりと自然のような大きい周期の律動を感じる曲です。不協和音と音の連なりであった曲はラスト10分になると雨音のような点の集まりのようなシーンに入っていきます。動画を見るとわかりますが、最後は一台のピアノにつき3人の演奏者が演奏し、トータル12人に。そして演奏は一人のピアニストの合図で進行していき、リズム的にはわざと曖昧に、そして回数を決めないで(手元にストップウォッチがあるので恐らく時間で進行)演奏されているのだと思われます。70年代に作曲され、録音は80年。 (日野)