Nas『Illmatic』、The Notorious B.I.G.『Ready to Die』、Beastie Boys『Ill Communication』とも同い年。ポーランドではヒップホップがまだ黎明期にあり、自国語でラップするという行為がまだ新しかった時代、1994年の先駆的作品が30年を経て同国レーベル〈The Very Polish Cut Outs〉より初のアナログ化。ヒットした「Czujee się lepiey(気分がよくなる)」を含む全18曲。DIYのLo-Fiで実験的なラフな質感に、東欧ローカルのスケールが生む静かなサイケデリア。ラップと詩の朗読、祈りと怒りの間を彷徨うような緊張感のあるパフォーマンスで、何と言っているのかよりも吐き出されたものをぜひキャッチしてみてください。 (足立)
〈STONES THROW〉MADLIBのオルター・エゴでもある 比類なきオルタナティブ・ヒップホップ・プロジェクト、Quasimoto の2005年にリリースされた2ndアルバム『The Further Adventures of Lord Quas』が、Quasimotoのイラストを手掛けるJeff Jank により、新たなアルバムカバーのアートワーク + 厚手のゲートフォールド仕様 + カラー盤の、スペシャルな2LP盤が限定数量でリリース!!当初、Stones Throwのオンラインストアのみでの販売で即完しておりましたが、限定数量にて日本にも流通が実現。
MADLIBがシャイ故のヘリウム吸引系虫声ラップ。ディガーでもある彼のコレクションからサンプルされたロウファイで煙たい揺れのあるビート。ジェームスブラウンのブレイク、レアな70sソウルグループThe Roe-O-Tationのコーラスフレーズが強烈な「Rappcats Pt. 3」(sample_1)や,The Spinners「I Found Love」の最高に沁みるフレーズをループさせ、M.E.D.を迎えた「The Exclusive」(sample_2)など、入手困難な音源からポピュラーなソウル、チリノイズからスクラッチまで、未だ誰も同じ調理をしてもこの味にはならない、代わりの効かないユニークなトラック群。1st『The Unseen』に並ぶ超名盤。 (AYAM)
グローバルなポップミュージックの地位を確立して久しいラップ・ミュージックだが、ラップは英語(アメリカ英語)でなければ米国でヒットすることは難しい。これはK-POPの戦略を見ても自明のことだと思う。アメリカ英語を練習して巧みに操り、ラップ・ミュージックの「アジア」の枠に花を咲かせている韓国のアーティストが多数いる一方で、ローカルの意味を音とリリックに落とし込み、ヒップホップを完全な地元の味に調理してしまう「アジア」のアーティストも存在する。タイのJUU4Eはまさしくその代表的な存在だ。 タイのヒップホップ・シーンにおいてOGとしてリスペクトを受け、独自の位置を確立しているラッパーJUU4E。2019年にリリースされたファースト『ニュー・ルークトゥン』では、stillichimiya/OMKのYoung-Gプロデュースの元、タイの雑食ゲットー歌謡ルークトゥンをヒップホップと折衷、最新のヒップホップであると同時に最新のルークトゥンでもあるという傑作を作り上げた。続く『馬鹿世界』ではサイケデリックかつ、タイ南部の舞踊芸能ロン・ゲンや、日本民謡など意識的な「アジア」の風味を取り入れたユニークな音楽を展開し、コロナ渦中の混沌とした世界を描いた。 これらの流れを継ぐ『イズ』は、コロナを乗り越えて再びパーティーが始まる、開放感に溢れたダンス・アルバムなっている。アルバムの前半6曲は、2023年にデジタルEPとしてリリースされたもので、アップテンポのジャージークラブ、ドラムンベース、ドリルといった「グローバル」のトレンド・ビートにタイの伝統楽器であるケーンのループや「ワンカップ酒」といったローカル局所トピック、そして仏教の世界観に基づく歌詞が結び付けられ、踊りたい衝動と自分の立ち位置を問うてくるような感覚が交互に訪れる。文脈は違うが、デヴィッド・バーンとブライアン・イーノの『My Life in theBush of Ghosts』と同種の感覚だ。後半の7曲は今回が初出となるが、前作『馬鹿世界』収録の「トンブリー丼」のドープな別バージョンや、めでたくタイで解禁されたガンジャをドリルのビートで讃える「タイは吸う」など、前半と同じく開放感に溢れるチューンと独自の詞世界に溢れた内容となっている。前半6曲、後半7曲、そう、合わせて13(ジュウさん)曲! ジュウさん曰く、このアルバムはコロナを乗り越えてみんながまた集まる楽しさを取り戻せたという喜びの感情を内蔵しているとのこと。本当にその通り。爆音でプレイしてパーティーをまたスタートさせよう!
Produced by JUU4E & Young-G Mastering: Takuto Kuratani Cover art: Shinsuke Takagi (Soi48/OMK)
ケンドリック・ラマ―’14年の大傑作「To Pimp a Butterfly」への参加や、同時期には天才・ANDERSON .PAAKとのデュオ・NxWORRIESの片割れとしても知られるカリフォルニアのビートメイカー・KNXことKNXWLEDGE。bandcampで楽曲を大量に発表していたころと変わらないクリエイティヴさと未知なるビートの探求は衰え知らず、NxWORRIESとしてのクレジットもあり、シークレットでANDERSON PAAK.が歌っているというトラックもあるという今作、いつものように全22曲というビートワークをパッケージした純度の高いサンプリング技能や現代ヒップホップのHQなトラックが満載。ラストも、LAのフレッシュなシンガー、DURAND BERNARRとROSE GOLDをフィーチャーした「Mindin My Business」もお楽しみ。KNXWLEDGE諸作の中でもR&Bサンプリングが際立つメロディアスな名作。大推薦です!
2000年にリリースされたMADLIBのオルター・エゴ、QUASIMOTOの1stアルバム。ヘリウムを吸ったような虫声ラップ、MADLIB印のロウファイで煙たい揺れのあるビート。どれも衝撃的だった問題作。クラシック「Microphone Mathematics」、「Low Class Conspiracy」、「Come On Feet」、「Jazz Cats Pt.1」は本アルバムに収録。その他も主にジャズをサンプリングしたドープでユニークな楽曲がずらり。STONES THROW15年の歴史の中でも重要な1枚である事間違いなしです。
サウス・ロンドン・アンダーグラウンドの実力者にしてDJ中のDJ、Peggy Gou発掘A&Rとして、Boiler Roomの元音楽部長でもあった重要人物でもある才人Dean Bryceによる、Moodymann and Theo Parrishと並べられてもおかしくないフロアを刺激効能する見事なRE-EDITワークを披露。
A TRIBE CALLED QUESTのラジオフリースタイルをサンプリング。”90年代のレコードB面”と想定して妄想再構築したエディットトラック7インチ!ジャケットもイカした限定プレス。危険なエディットソース使いで話題のKING MOSTとCASQUIATがスプリットでリリース。フリップはGHOSTFACE KILLAHとRAEKWON使い。
SISTER NANCYの代表曲「Bam Bam」のエディットがロングヒット中のKING MOSTは、ATCQラジオフリースタイルをサンプリング使用しベースを効かせたその名も「A Tribe Called Westwood」(sample1)。フリップはCASQUIATがGHOSTFACE KILLAHとRAEKWONを使ったブームバップ「Colossal Rhymes」(sample2)。 (Akie)
AMERIE「1 Thing」やJA RULE「Always On Time」使い、名曲を滑らかにマッシュアップした危険エディット!これまでも大ネタをシームレスにブレンドした危ないマッシュアップワークで話題を呼んできた豪州パース拠点の職人CASUAL CONNECTIONによるエディットシリーズ第6弾、ストック発見しました。
KOOL&THE GANG 「HOLLYWOOD SWINGING」ネタでも著名な1997年MASE「Feel So Good」を基礎に、同じく特大ヒットのAMERIE「1 Thing」のシグネチャーなボーカルをコラージュ&マッシュアップしたA面。ビルボードR&B/HIP HOPチャートを総なめにした名曲、IRVGOTTIプロデュース&アシャンティ参加のJA RULE「Always On Time」にJAGGED EDGE最大ヒットの「Where the Party At feat. Nelly」を合わせたB面。どちらもまるで一曲のよう、スムーズな混ぜ方が流石です。 (Akie)
Nas『Illmatic』、The Notorious B.I.G.『Ready to Die』、Beastie Boys『Ill Communication』とも同い年。ポーランドではヒップホップがまだ黎明期にあり、自国語でラップするという行為がまだ新しかった時代、1994年の先駆的作品が30年を経て同国レーベル〈The Very Polish Cut Outs〉より初のアナログ化。ヒットした「Czujee się lepiey(気分がよくなる)」を含む全18曲。DIYのLo-Fiで実験的なラフな質感に、東欧ローカルのスケールが生む静かなサイケデリア。ラップと詩の朗読、祈りと怒りの間を彷徨うような緊張感のあるパフォーマンスで、何と言っているのかよりも吐き出されたものをぜひキャッチしてみてください。 (足立)