グローバルなポップミュージックの地位を確立して久しいラップ・ミュージックだが、ラップは英語(アメリカ英語)でなければ米国でヒットすることは難しい。これはK-POPの戦略を見ても自明のことだと思う。アメリカ英語を練習して巧みに操り、ラップ・ミュージックの「アジア」の枠に花を咲かせている韓国のアーティストが多数いる一方で、ローカルの意味を音とリリックに落とし込み、ヒップホップを完全な地元の味に調理してしまう「アジア」のアーティストも存在する。タイのJUU4Eはまさしくその代表的な存在だ。 タイのヒップホップ・シーンにおいてOGとしてリスペクトを受け、独自の位置を確立しているラッパーJUU4E。2019年にリリースされたファースト『ニュー・ルークトゥン』では、stillichimiya/OMKのYoung-Gプロデュースの元、タイの雑食ゲットー歌謡ルークトゥンをヒップホップと折衷、最新のヒップホップであると同時に最新のルークトゥンでもあるという傑作を作り上げた。続く『馬鹿世界』ではサイケデリックかつ、タイ南部の舞踊芸能ロン・ゲンや、日本民謡など意識的な「アジア」の風味を取り入れたユニークな音楽を展開し、コロナ渦中の混沌とした世界を描いた。 これらの流れを継ぐ『イズ』は、コロナを乗り越えて再びパーティーが始まる、開放感に溢れたダンス・アルバムなっている。アルバムの前半6曲は、2023年にデジタルEPとしてリリースされたもので、アップテンポのジャージークラブ、ドラムンベース、ドリルといった「グローバル」のトレンド・ビートにタイの伝統楽器であるケーンのループや「ワンカップ酒」といったローカル局所トピック、そして仏教の世界観に基づく歌詞が結び付けられ、踊りたい衝動と自分の立ち位置を問うてくるような感覚が交互に訪れる。文脈は違うが、デヴィッド・バーンとブライアン・イーノの『My Life in theBush of Ghosts』と同種の感覚だ。後半の7曲は今回が初出となるが、前作『馬鹿世界』収録の「トンブリー丼」のドープな別バージョンや、めでたくタイで解禁されたガンジャをドリルのビートで讃える「タイは吸う」など、前半と同じく開放感に溢れるチューンと独自の詞世界に溢れた内容となっている。前半6曲、後半7曲、そう、合わせて13(ジュウさん)曲! ジュウさん曰く、このアルバムはコロナを乗り越えてみんながまた集まる楽しさを取り戻せたという喜びの感情を内蔵しているとのこと。本当にその通り。爆音でプレイしてパーティーをまたスタートさせよう!
Produced by JUU4E & Young-G Mastering: Takuto Kuratani Cover art: Shinsuke Takagi (Soi48/OMK)
EM RECORDSからイサーン、モーラムの歌姫アンカナーン・クンチャイ名盤再発。『(モーラム:モーは達人、ラムは声調に抑揚をつけながら語る芸能。つまり“語りの達人”で、その歌手とジャンル両方をさす名称。)』当時16歳だったというアンカナーン・クンチャイの独特のモーラムの節回し。ケーンやソーの民族楽器に、シンセサイザー等の電子音も融合された伝統的音楽。ダンス/舞踊の感覚があって亜熱帯の天然サイケデリックの魅力溢れる一枚。映画「バンコクナイツ」での占い師/シャーマン的役として出演し、啓示めいた語りがそのままラム(歌)になっていくシーンは深い印象を残す。 (サイトウ)
本コンピには空族の『バンコクナイツ』出演のアンカナーン・クンチャイ、映画『Y/OUR MUSIC』に登場したポー・チャラートノーイという二人の人間国宝モーラムが登場!タイ東北地方イサーン出身で長年活躍してきた大御所だけに仕事リストにはイサーンのスターのきらびやかな名前が並ぶわけですが、今回はPVやTVメディア露出なしで音楽そのもので勝負していた時代、インタノン・プロダクションがギラギラしていた70s〜80sのモーラム/ルークトゥン/タイファンク・ナムバーをヒット曲レア曲交ぜて選抜。これが自動的に現代タイ・ポップスをイサーン側からひも解く教科書にもなります。彼が作って流行らせたモーラム型「ラム・ペーン」の記念すべき第一作も初お目見え!ドイ・インタノン仕事をみるとき「イサーンから中央(バンコク)に攻め入った」という表現がはまるわけですが、常識破りの鬼の商売人ドイ先生がどれだけ暴れ回ったのか実地見聞しましょう!(先生、無茶しよる〜by EM RECORDS )
Adrian Younge と Ali Shaheed Muhammad(A Tribe called Quest)が錚々たる顔ぶれのジャズ・アーティストたちとコラボレーションをしていく、ライブ・ミュージック・プロジェクト/レーベル〈Jazz Is Dead〉が2023年にセカンド・シーズンに突入。レジェンド・鍵盤奏者 Lonnie Liston Smith を迎えた第7弾、ストックしました!
DJ兼レコードコレクターであるJosh Cheonによって運営され、官能的なヴィンテージ・ディスコから最先端のコンテンポラリー・テクノまで、主に1980年代アンダーグラウンドシーンの発掘に注力してきたDaak Entries。レーベルのアートワークの大部分を手がけたグラフィックデザイナーのEloise Shir-Juen Leighは、復刻盤のオリジナルデザインの忠実な再現から、新たなデザインの創造までを担当。DIYのアナログ技法から現代的なデジタルアプローチまで、多彩な手法で制作されています。巻末には全ディスコグラフィと、Shawn O’Sullivan(Led Er Est, Further Reductions)によるエッセイを収録。アーティストにとってのインスピレーションの源にもなっている愛情溢れる数々のデザインワークをぜひご覧ください。音楽が聴こえてくるようです。64ページ。5×7インチ。3種類のネオン色カバー(※通販ではカラーはお選びできません。ご了承ください)。ナンバリング入り限定200部。 (足立)
老舗名門Kompakt創始者のひとり、STUDIO 1,MIKE INK,GASをはじめ様々な名義で実験テクノ〜エレクトロニクス・ミュージックに革命を起こし、ジャーマン・テクノ・シーンを切り開いてきたパイオニアWolfgang Voigt(ヴォルフガング・ヴォイト)がSOG名義2012年にリリースした12inch+CDという変則的コンビネーション問題作「For The Love Of God」がリリースから12年を経て奇跡の待望リプレス!!!
科学的エクスペリメンタリズム・アート実験性にも富んだWolfgang Voigtによる無機的ファンクネス・テクノ・アヴァンギャルド・ミニマリズム、無限に続くバスドラム探求の成果!徐々に発展進化する、フロア・サウンズの領域を拡張するかのような実験性も高い「For The Love Of God」パート1-5。CDは5トラック。12インチはそのうち2トラックSide-A「For The Love Of God 3」(sample1)、Side-B「For The Love Of God 4」(sample2)を収録。 (コンピューマ)
グローバルなポップミュージックの地位を確立して久しいラップ・ミュージックだが、ラップは英語(アメリカ英語)でなければ米国でヒットすることは難しい。これはK-POPの戦略を見ても自明のことだと思う。アメリカ英語を練習して巧みに操り、ラップ・ミュージックの「アジア」の枠に花を咲かせている韓国のアーティストが多数いる一方で、ローカルの意味を音とリリックに落とし込み、ヒップホップを完全な地元の味に調理してしまう「アジア」のアーティストも存在する。タイのJUU4Eはまさしくその代表的な存在だ。
タイのヒップホップ・シーンにおいてOGとしてリスペクトを受け、独自の位置を確立しているラッパーJUU4E。2019年にリリースされたファースト『ニュー・ルークトゥン』では、stillichimiya/OMKのYoung-Gプロデュースの元、タイの雑食ゲットー歌謡ルークトゥンをヒップホップと折衷、最新のヒップホップであると同時に最新のルークトゥンでもあるという傑作を作り上げた。続く『馬鹿世界』ではサイケデリックかつ、タイ南部の舞踊芸能ロン・ゲンや、日本民謡など意識的な「アジア」の風味を取り入れたユニークな音楽を展開し、コロナ渦中の混沌とした世界を描いた。
これらの流れを継ぐ『イズ』は、コロナを乗り越えて再びパーティーが始まる、開放感に溢れたダンス・アルバムなっている。アルバムの前半6曲は、2023年にデジタルEPとしてリリースされたもので、アップテンポのジャージークラブ、ドラムンベース、ドリルといった「グローバル」のトレンド・ビートにタイの伝統楽器であるケーンのループや「ワンカップ酒」といったローカル局所トピック、そして仏教の世界観に基づく歌詞が結び付けられ、踊りたい衝動と自分の立ち位置を問うてくるような感覚が交互に訪れる。文脈は違うが、デヴィッド・バーンとブライアン・イーノの『My Life in theBush of Ghosts』と同種の感覚だ。後半の7曲は今回が初出となるが、前作『馬鹿世界』収録の「トンブリー丼」のドープな別バージョンや、めでたくタイで解禁されたガンジャをドリルのビートで讃える「タイは吸う」など、前半と同じく開放感に溢れるチューンと独自の詞世界に溢れた内容となっている。前半6曲、後半7曲、そう、合わせて13(ジュウさん)曲! ジュウさん曰く、このアルバムはコロナを乗り越えてみんながまた集まる楽しさを取り戻せたという喜びの感情を内蔵しているとのこと。本当にその通り。爆音でプレイしてパーティーをまたスタートさせよう!
Produced by JUU4E & Young-G
Mastering: Takuto Kuratani
Cover art: Shinsuke Takagi (Soi48/OMK)
=作品仕様=
+ 通常ジュエルケース+帯
+ 24Pブックレット封入(解説・訳詞掲載)
+ 解説:Young-G(stillichimiya/OMK)